大判例

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東京高等裁判所 昭和30年(う)2067号 判決

被告人 山口芳忠

〔抄 録〕

弁護人Sの控訴趣意第一点、弁護人Kの控訴趣意第一点ないし第四点について。

よつて先ず原判示第一乃至第三の事実について考察するのに刑法第二百五十三条(業務上横領罪の規定)にいわゆる業務とは、人がその社会上の地位において継続的に従事する事務を言い、ある職務を有する者がその職務に関連附隨してある事務を継続的に処理する場合においてもこれを業務と言うを妨げないところ原判決の挙示する証拠によれば、被告人は株式会社常陽銀行小山支店長として預金の受入れその他同支店における銀行業務一切を統括する傍ら、右職務に附随し(預金受入れの成績を挙げるため)慣例上得意先預金者から同支店に対する現金預入方の委託を受けて便宜これを預り同支店のため一時自ら保管する事務をも処理していたところ、原判示(第一乃至第三)の如く三回に亘り預金者柴崎義郎から同支店に対し定期預金方を依頼されて現金合計百六十一万円を受け取り(本件においては同支店名義の定期預金証書を発行交付している。)同支店における正規の預金受入手続をなすため一時これを被告人において保管中、原判示の如くこれを着服領得したこと、その他原判示(第一乃至第三)の事実(原判示冒頭記載の事実中関係部分を含む)を認めるに足り、冒頭説示の趣旨に照らし、被告人の右所為は、同支店のため被告人が業務上占有していた現金を着服横領したものに外ならないら原判決がこれを業務上横領罪に問擬したのは正当である。而して所論の各証拠をもつてするも右認定を覆えすに由がないのはもとより、記録に徴してもこの点につき所論の如き事実誤認ないし法令の適用の誤あるを認め得ないからこの点に関する所論はすべて失当であつてその理由がない。

(三宅 河原 遠藤)

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